調停はどこの裁判所に? 管轄とウェブ・電話利用を解説

調停はどこの裁判所に? 管轄とウェブ・電話利用を解説

2026-07-07

調停はどこの裁判所に申し立てる?遠方の場合のウェブ・電話利用について

離婚、養育費、婚姻費用、遺産分割などの話合いがまとまらない場合、家庭裁判所の「調停」を利用することがあります。

調停を考えるときに、意外と問題になりやすいのが、
「どこの裁判所に申し立てるのか」
「相手方が遠方にいる場合、毎回その裁判所まで行かなければならないのか」
という点です。

この記事では、調停の管轄と、ウェブ会議・電話会議の利用について、説明します。

1 調停は、「相手方の住所地」の裁判所に申し立てることが多い

家事調停を申し立てる先の裁判所は、「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」とされています。

たとえば、離婚調停、婚姻費用分担調停、養育費請求調停などでは、原則として、相手方が住んでいる地域を管轄する家庭裁判所に申し立てます。

申立人が富山県や石川県に住んでいても、相手方が東京に住んでいる場合には、原則として東京側の家庭裁判所が申立先になる、ということです。

ただし、当事者双方が合意すれば、別の家庭裁判所で調停を行うことができる場合があります。この場合には、通常、管轄合意書などの書面を前もって用意し、提出することになります。

2 遺産分割調停では「相手方のうち一人」の住所地を選べる

相続人同士で遺産分割の話合いがまとまらない場合には、遺産分割調停を申し立てることがあります。

遺産分割調停の場合、相手方が複数いることが多いため、申立先は「相手方のうち一人の住所地を管轄する家庭裁判所」または「当事者が合意で定める家庭裁判所」とされています。

たとえば、申立人が富山県に住んでいて、相手方となる相続人が石川県、東京都、大阪府にいる場合には、相手方のうち一人の住所地を基準にして、石川県、東京都、大阪府のいずれかの家庭裁判所を選ぶことが考えられます。

「亡くなった方の最後の住所地」や「不動産の所在地」がそのまま遺産分割調停の管轄になるわけではない点には注意が必要です。

また、被相続人との関係が薄く、当事者の多くにとって不便な場所の裁判所に申立てがされた場合には、相手方のいずれかから移送申立てが出されることもあります。

3 民事調停は、原則として簡易裁判所

貸金、売買代金、請負代金、近隣トラブルなどの民事上の紛争については、簡易裁判所の民事調停を利用することがあります。

民事調停は、原則として、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。

もっとも、建物や土地に関する調停など、事件の種類によって管轄が異なることがあります。民事調停については、「どの種類の調停にあたるのか」を確認したうえで、申立先を検討する必要があります。

4 遠方の裁判所になることは珍しくない

調停の管轄は、申立人の都合だけで決まるわけではありません。

そのため、次のようなケースでは、遠方の裁判所が申立先になることがあります。

  • 別居後、相手方が県外に住んでいる
  • 相続人が全国に散らばっている
  • 相手方が転居しており、現在の住所地が遠い

この場合、「毎回遠方の裁判所に行かなければならないのか」という点が現実的な問題になります。

5 調停でウェブ会議を利用できる場合がある

現在、家事調停でも、事案によってはウェブ会議を利用できる場合が少なからずあります。

たとえば、遠方に住んでいて裁判所まで出向くことが難しい場合などには、ウェブ会議の利用が検討されることがあります。

ただし、ウェブ会議を利用できるかどうかは、当事者が一方的に決められるものではありません。実際に調停を担当する裁判所が、当事者の意向や事件の内容を踏まえて判断します。

また、私は、裁判所の設備が限られているため、ウェブ会議の枠が埋まっているとして、電話会議で開催されたケースも経験しています。

ウェブ会議を希望する場合には、申立ての段階または期日調整の段階で、裁判所に事情を伝えることが重要です。

6 電話会議が使われることもある

調停では、電話会議が利用されることもあります。

もっとも、電話だけでは本人確認や意思確認、細かなニュアンスの把握が難しいことがあります。

特に、離婚や離縁の調停については、令和7年3月1日以降、ウェブ会議によって調停を成立させることができるようになりましたが、電話会議の方法によっては成立させることができないとされています。

したがって、ウェブ会議、電話会議、出頭(実際に出席)のいずれが適切かを、事件ごとに検討する必要があります。

7 弁護士に依頼している場合でも、依頼者本人の関与は必要

弁護士に依頼している場合、弁護士が裁判所との連絡や書面作成、期日対応を行います。

ただし、調停は、話し合いの手続ですので、比較的、細かな部分についても、依頼者本人の意向確認が重要です。特に、離婚、親子交流、養育費、遺産分割などでは、最終的にどの条件で合意するかを本人が判断する必要があります。

重要な局面以外は任せておきたいとお考えになる方もおられ、事案やご意向により対応を検討しています。

8 調停を申し立てる前に確認したいこと

調停を検討する場合には、少なくとも次の点を確認しておくとよいでしょう。

  • 相手方の現在の住所
  • どの種類の調停を申し立てるのか
  • 管轄となる裁判所
  • 管轄合意ができる可能性
  • 遠方の場合、ウェブ会議や電話会議を希望する事情
  • 申立てに必要な戸籍、住民票、収入資料、不動産資料などは何か
  • 調停で何を求めるのか
  • 調停でまとまらない場合の次の手続はどうなるか

9 まとめ

調停は、自由に申し立てられるわけではありません。

離婚、養育費、婚姻費用などの家事調停では、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所が申立先になります。遺産分割調停では、相手方が複数いる場合、相手方のうち一人の住所地を基準にできる場合があります。

一方で、遠方の裁判所になる場合でも、ウェブ会議や電話会議を利用できることがあります。ただし、利用できるかどうかは裁判所の判断によるため、依頼している弁護士とも話し合い、早めに事情を伝えることが大切です。